2008-05-20

アーベル賞授賞式

アーベル賞受賞記念式典に行ってきた。つい先日まで記念講演だけいくつもりだったが、昨日のセミナーの後にR先生から、一緒にどうかとのお誘いを受け急遽行くことに決定。お昼過ぎに研究所で待ち合わせ、他の方達と一緒に街の中心にあるオスロ大学(Karl Johansキャンパス)に向かう。オスロ大学の元々のキャンパスはこちらだったが、現在ほとんどの学部はBlindernキャンパスに移っており、残っているのは法学部だけである。快晴で式典にはもってこいの天気。式典はアウラ(Aula)講堂で行われる。この講堂では以前はノーベル平和賞の授賞式も行われていた。ムンクの壁画があることで有名である。13時半前に着いたが、講堂の前には早くも大勢の人々が集まっていた。写真を取ったりしていると横から不意に呼びかけられる。誰かと思って振り向くとなんとK先生だった。約半月ぶりにお会いすることが出来たので感激。アーベル賞授賞式は数学者のお祭りみたいなものなので、ノルウェー各地から大勢の数学者が集まる。普段なかなか会えない方々が会って旧交を温め会う場所としての役割もあるようだ。講堂の前には小さな楽団が。今日はノルウェー国王も来るのでその関係で準備しているものと思われる。14時前に講堂に入るよう促される。式典の方には参加登録してなかったので、講堂内に入れるかどうかギリギリまで不安だったが、R先生の後にくっついて入ったら何も咎められなかった。会場内は思った程広くなく、席はほぼ埋まっていたが、後ろの方の空いている席を探して座る。噂のムンクの壁画は3面に渡り堂々と描かれていて見応えがあった。14時を過ぎると急に会場が静かになり、国王の来場が近いことがわかった。音楽とともにヘラルド国王とソーニャ女王、その側近の方々が入場し、続いて今年の受賞者の入場。今年はThompson教授とTits教授にアーベル賞が送られる。お二方とも群論分野で著しい活躍をされた方達である。ノルウェー科学文学アカデミー代表による開会挨拶や委員会チェアマンによる挨拶はノルウェー語だったが、英訳されたものがプログラムに印刷されていた。その他にはノルウェーの音楽家達によるピアノ、ビオラ、声楽の演奏があった。この音楽演奏は年によってジャンルやアーティストが異なり、毎年参加者を楽しませているようだ。受賞者によるスピーチがあり、最初にThompson教授が行った。群論の発展の歴史を総括するようなスケールの大きいスピーチのようだったが、有限単純群の分野の専門用語が多すぎてほとんど理解出来なかった。所々でSuzukiと言っていたので鈴木通夫教授の貢献について触れていたのだと思う。日本人数学者の活躍が紹介されるのは嬉しい。Thompson教授のスピーチは長かったがTits教授のスピーチは短かった。最後にもう一度音楽の演奏があり、国王女王退場のあとお開きとなった。授賞式が終わっても、人々はなかなか会場を後にせず、この一同が一斉に集まる機会を利用し、旧交を温めているようだった。先生方も挨拶でお忙しそう。ふいにR先生から呼ばれ、Peskine教授に紹介して頂いた。想像していたより小柄な先生だった。明日は受賞者によるアーベル講演。オスロ大学Blindernキャンパス内の図書館で行われる。

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