2008-06-30

Homenkollbakken Ski Jump and Skimuseum

昨日の続き。国立美術館の後は郊外にあるホルメンコレン・スキー・ジャンプ台を訪れた。以前に船でオスロフィヨルドに出たとき、遠目に見ても分かるほどの白くて綺麗なジャンプ台が確認できた。今日は天気も良いのでそのジャンプ台に行ってみた。National Theatretから20分程地下鉄(1番)に乗って北西に行くとHomenkollenという駅がある。ジャンプ台はそこから歩いて15分程のところだ。まずは下から眺めることにする。近くまで寄るとさすがにその大きさを感じる。真下の池からジャンプ台に伸びるコンクリートの階段を使って上に上がったが、階段の段差がきつく風も強かったので池まで落ちそうな気がして正直少し怖かった。上は広場になっていてスキー博物館への入り口がある。ジャンプ台の頂上まで登ることは可能だが、その為には博物館への入場が必要。せっかくここまで来たので気前よく70NOK払って博物館に入ることにした。入り口からすぐのところに北極グマの剥製が置いてあり、思わず立ち止まった(結構好き)が、目的はジャンプ台頂上なので後回しにしてとにかく先を急ぐ。階段を登って2階に上がるとジャンプ台へ続くエレベーターへの入り口がある。エレベーターは途中までしか無いので、そこから先は急な階段を徒歩で登る。息を弾ませながらようやく頂上までたどり着いた。4面がガラス張りになっていて周囲を見渡すことができる。ガラスで囲まれているせいで、ガイドブックにあるほど迫力は感じなかった。むしろさっきの池から続く階段の方が迫力あった。手すりやガラスの縁には日本で最近問題になっている落書きが至る所に(!)。一通り見てみたが日本人によるものと判断される落書きは幸い無かった。しばらく上でボーッとした後に階段&エレベーターで再び博物館に戻る。夏期は20時まで開館していて、閉館までは時間もたっぷりあったのでゆっくり時間をかけて見て回ったが、これが意外に面白かった。アムンセンが南極探検で使用した装備や、南極点到達を巡りライバルであったイギリスの探検家スコットとの競争についても紹介されていた。そりを引っ張った犬の剥製も展示されていて、彼らの活躍なしではイギリスとの戦いに勝利することは出来なかったと犬達の貢献を讃えていた。彼らの競争のドラマは思わず重ね合わせてしまうほど、大問題を巡る数学者達の競争に似ている。装備(犬ぞり、毛皮服)や探検のルート、出発点の選び方が勝敗を左右するのはまったく一緒。そして時として競争の結末が人生に影響するのも。両者には共通点が多い。

2008-06-29

国立美術館

オスロは一国の首都としては小さな都市である。見どころも限られているので観光は滞在中いつでも可能との考えから今までほとんど何処にも出かけていなかった。滞在期間の約半分が経過したので、少しは観光地らしいところにも出かけてみることにした。
まずは国立美術館。11時の開館と同時くらいに入場した。日曜日ということもあってそれほど混雑もしていなかった。収蔵品で得に有名なのがムンクの「叫び」。ノルウェーをというか北欧を代表する画家なので、彼の作品の扱いは特別で専用の展示室があった。こちらに来る少し前に神戸でムンク展があったので予習に行ったが、そこで見た作品も数点展示されていた。とかく暗いイメージのある彼の作品だが、彼の晩年の作品には明るい色彩のものも多い(例えばオスロ大学の講堂の中の壁画とか)。死や不安に苦しみながらも作品を作り続け、闇から光に移っていった彼の精神の強さが作品にも表れていて、見る度に感心する。ムンク以外にもノルウェーの画家の作品が数多く展示されている。その他にもヨーロッパの有名画家の作品がその辺にゴロゴロしていているがなんと入場料は無料。私はどちらかといえば、そういう有名画家の作品よりもノルウェーの自然や風景を描いた作品の方が気に入った。それらはこの前出かけたノールフィヨルドの雄大な自然やカヤックで旅したオスロの海などを思い起こさせ、見ていて楽しかった。観光地にはつき物の日本人ツアー客の一団にも遭遇したが、年齢層が若干高い気がした。北欧はシニアに人気なのだろうか?それとも物価が高いからある程度経済的に余裕のある世代しかツアーに参加しない?私が気に入った作品で立ち止まっているといつも何故かあるアジア系の女の子と偶然一緒になった。顔立ちからして日本人では無いだろうと思ったが自信は無かった。出口で再び一緒になり、写真を取ってあげたついでに少し話したら台湾の子だった。イギリスで観光業に関する研究(?)を行っているポスドクとのこと。夏のオスロは人口のほとんどが観光客では無いかと思うくらい他所からの人が多い。

2008-06-28

夕暮れのSognvann

最近は夕方になるとほぼ毎日Sognsvannを散歩している。夏休みに入り前ほど大学に行かなくなったので運動不足解消の意味も大きいが、湖のまわりの景色が大変綺麗だからだ。まるでそのまま絵葉書になりそうなくらい夕暮れ時の景色は美しい。19〜20時でもまだ辺りは明るく散歩するのにちょうど良い。湖のまわりを一周して宿舎に戻ってくるとちょうど1時間くらいになる。京都にいた頃も鴨川周辺など散歩する場所には恵まれていたが、なかなか散歩する気にはならなかった。外国にいるおかげかもしれない。こちらに来た4月当初は湖の上にはまだ氷が貼っていた。現在はすっかり暖かくなり、湖で泳ぐ少年や若者たちが見られる。

2008-06-26

税金と社会保障

先月末にこちらの税務署(Skatte Øst)から税金納付に関する通知が届いた。文面は全てノルウェー語だった為に詳しい内容はわかり兼ねたが、どうやら私の奨学金の25%を税金として納付せよと書いてあるようであった。以前ノルウェーで支給される奨学金は、基本的に課税対象にはならないと聞いていたので、すぐに奨学金の支給先に問い合わせ、税務署に直接連絡を取ってもらうようお願いした。担当の方は私の為に交渉してみるが、結果に関しては予測不可能であり、保証できないとの返事をされた。今日その結果と思われる通知が再び税務署から届いた。結果は大幅に減額されたものの、やはり奨学金からかなりの額を税金として収めよとの通知だ。

最初の通知以来、気になったので何人かの大学院生に収入に対する税金の割合について聞いてみた。博士課程の大学院生の場合は、通常奨学金(教育にも関わるので一部は給料扱い)の中から30%以上の割合の額を税金として支払うようである。こちらの奨学金は日本の奨学金と異なり、給料に近い扱いらしい。その代わり日本のように奨学金の返還義務が無いことは言うまでもない。これらの背景を考えると、私に対する税金の請求額も無理は無い気がしてきた。

この国の充実した社会福祉、医療、教育制度は国民の支払う高い税金によって支えられている。ほとんどの商品には通常11〜25%の付加価値税(VAT, 消費税に相当)が課せられている。所得税に関しても、一般会社員の場合収入の45%~50%を税金で取られる。「税金で収入の半分近くが消えてしまう」というのは事実のようだ。若いカップルや夫婦はほとんど貯金をすることができない。貯金ができなくとも、将来への不安が無いのは何故か?それは医療や教育がほぼタダだからだ。日本人のように将来に備えて貯金をする必要が無い。しかしそれには良い面もあれば悪い面もある。病気に対する備えはいらないものの、病院で診察を受けるためには予約を入れた後に通常約1週間程待たなければならない。命に関わる病気・怪我でない限りこのルールは適用される。驚くべき事に打撲や骨折のような激しい痛みを伴う怪我でも例外ではないようだ。国が異なれば、ルールも習慣も異なるのが常だが、ノルウェーは日本と全く異なる考え方・仕組みに基づいて人々が動いていることに驚かされる。

追記&訂正(7月1日): 税務署からの請求額は国民健康保険料(trygdeavgift)に関するものであった。こちらの国民健康保険は強制加入であり、一般に保険料は所得税と一緒に税請求書において給料から引かれる。請求書には所得税と保険料の合計金額(とその所得に対する割合)が記載されている。私がノルウェー語を良く理解しない為に、それが奨学金に対する税だと誤解した。奨学金給付機関の担当者の方がLikningskontoretに手紙で良く説明して下さったおかげで、奨学金は控除の対象として認められた。

2008-06-21

一週間ぶりのオスロ

再び長時間バスに揺られてオスロに戻ってきた。向こうを昼の2時過ぎに出発し、オスロバスセンターに11時半頃到着。途中休憩はあったが、ほぼずっと乗りっぱなし。しばらくの間はバスの旅は遠慮したい。座席はAndreaの横になり、会話をしたり数学をしたり。オスロに戻り見慣れた街の風景を見てホッとした。こちらでの生活に少し慣れた証拠かもしれない。Sognsvann行きの最終地下鉄に乗れるかどうか心配だったが、最終から二つ目の地下鉄に乗って無事帰宅。一週間留守にしただけだが、メールボックスに大量の郵便物がたまっていた。

とても充実した内容の一週間だった。講演も面白かったし、数学以外(登山、フィヨルド見学等)でもいろいろ経験することが多かった。表現論を勉強してみたくなった。

2008-06-19

雨の中の遠足

サマースクール4日目の講義は午前中で終了。午後からは遠足があり悪天候の中、他の参加者と一緒にBriksdalに氷河(glacier)を見学に出かけた。Briksdalはバスに乗ってNordfjordeidから1時間半程のところにある。ノルウェー西部の天気は変わりやすい。バスに乗っている間に天候が回復する事を期待したが、願いも虚しく到着した頃は大雨になった。場所はいかにも観光地らしいところ。土産物屋の看板には日本語の表示があり、日本人観光客も訪れることが伺えた。氷河はバス停から山を40分程登った所にある。雨だけならまだ良かったが、強風が吹いた為に登っている最中折りたたみ傘が壊れてしまった。40分ちょうどで目的の氷河に到着。
天気が良ければさぞかし綺麗であったろうに残念である。記念撮影後再び歩いてバス停に戻ったが、出発時間までまだかなりあったので、その辺をぶらぶらしたり、喫茶店でお茶を飲んだりして時間を潰した。

バスでセンターに戻り夕食後、学生さん達と一緒に地元のパブに出かけた。パブには大きなテレビがありちょうどEURO 2008準々決勝ポルトガル対ドイツ戦が放映されていた。そうか、みんなはこれを見たかったのか(^^)。パブで役に立つノルウェー語をひとつ教えてもらった。「en øl (エーン、エル)」(ビールを一つ)。学生の中にはドイツ人が居たけど、みんな割とポルトガルの方を応援していたように思う。結果は3-2でドイツの勝利。話に夢中になっていて何回か得点シーンを見逃してしまった。

2008-06-18

イギリス

筋肉痛が少し収まってきた。心配した腰痛も関節の痛みでは無いことが分かりほっとする。学生の夕食後のサッカーの習慣はまだ続いていて、日を追う毎に負傷者が増えている。食事の時に足を引きずって歩いている学生がいるし、今日は遂に病院に行く人まで現れた。サッカー好きな人が多く、熱のこもったプレーが怪我につながる。

7月にWarwickに行くための飛行機を予約した。OsloからBirminghamに飛ぶ便を探したが、ちょうど良い時間に出発・到着するものがないので残念ながらあきらめた。OsloからHeathrowに飛びLondon経由でWarwickまで行くことに決めた。このところ毎日のように航空券の値段をチェックしていたが、出発日までいよいよ3週間を切り値段が徐々に上がって来たので、あわてて旅先でネットから予約を入れた。Warwick滞在は11年ぶりになる予定。

2008-06-17

Sophus Lie Conference Center

昨夜の登山が堪え、朝から筋肉痛に悩まされる。まるで全身を打ったようなひどい痛み。昨晩寝る前に腰に痛みを感じたので明け方日本から持ってきた湿布を貼ると少し楽になった。今日は講義が5コマ、その後は2時間の演習(プロブレムセッション)があった。どの講義の演習に出ようか迷ったが、結局直前の講義の引き続きで代数群の演習に出た。
会場のSophus Lie Conference CenterはLie関係の本や資料が多く展示されている。Lie群・Lie環関連の本やこんな置物まで(Lieさん?)。センターの食事は3食かなりボリュームのある内容であることがわかってきた。この頃野菜中心の食生活をしていたので、揚げ物や肉料理も最初のうちは新鮮だった。しかし全部食べていては明らかに太りそうな内容。しかも毎食デザート付き。因みにノルウェー人は食後にデザートを食べるのが大好き。今回もケーキやプリン、それにフルーツポンチなんかが用意された。さらに10時と15時にあるコーヒーの時間にもパンケーキやフルーツなんかが振る舞われるので、つまり1日5食。夕食後にサッカーや登山などの山登りをしているのがせめてもの救いか?今日も夕食のあとサッカーに誘われたが、このひどい筋肉痛ではさすがに無理。夕食後早めに宿舎に戻った。

2008-06-16

サマースクール

午前中講義は無し。朝ご飯を食べた後は日光浴をしたりメールのチェックをしたりしながら、ゆっくり過ごす。午後からは講義が4コマ。1コマ45分の講義なので集中力を保つ事ができて、ちょうど良い。内容は次の3種類。
  1. 代数群
  2. 有限群の線形表現
  3. Parabolic群、Braid群の作用とTilting理論
1,2が初心者向けで3がやや専門家向けといったところ。いずれも7回(コマ)分の講義が用意されている。初回ということもあって、丁寧で分かり易かった。講義のあとはプロブレムセッション。小さなグループに分かれて問題を互いに相談しながら解く。学生時代の演習の時間に戻った気分で新鮮だった。問題は難し目だが、講演者が教室を巡回し要所要所で解答のヒントをくれるので聞いているだけでも勉強になった。

夕食のあとはR先生の提案で近くの山に登山にでかける。木曜に遠足が予定されているが、天気予報によると週の後半から天気が崩れるらしい。天気が良いいまのうちに散歩しましょうという提案だ。登りに2時間くらいかかるが頂上には雪があり、眺めが絶景だとのこと。昨日のサッカーの疲れから体を重く感じたが、せっかくの機会なので参加することにした。参加者はR先生, Christian, Andrea, 私を含め10人程。同じサッカーで足を痛めたChristianと一緒に後方でゆっくり歩いた。登り初めて10分、すぐにこの登山が容易で無いことを思い知らされる。R先生はかなり熟練した登山経験者なので(足も長いし)きびきびとした調子で登っていく。彼は私たちがはぐれないようにところどころで待っていてくれた。頂上までは約900メートル。半分(1時間)程登った所で木の背丈が低くなり急に視界が開けた。途中で拾った木を杖がわりに一番後ろで歩いていたが、登りの後半は私にとってきつい試練となった。崖のような急斜面を這い上がったり、雪で足場の悪い斜面に幾度も尻もちをついたりした。何度も断念しかけたが、ここで置いていかれたら「死ぬ」との必死の思いで登る。メンバーには女性も居たが、彼女達は体力もあり山登りは全く苦にならない様子だった。他の人から遅れること30分、私だけ2時間半かかってようやく頂上に辿り着く。体はもうボロボロで足が言うことを聞かない状態だったが、おかげで頂上からの素晴らしい眺めを手に入れた。頂上の気温は2〜3度。その為に長く滞在することは難しい。時間も夜9時半を回っていたので、すぐに下りることになる。今来た道をまた戻る事を思うとゾッとしたが、ずっといたら間違いなく凍死する。雪道をスニーカーで下りるときには特に恐怖を感じた。他の人が靴の踵を使ってスキーのように滑り下りていたのでそれに習ったのだが、何度も尻もちをつく有様。足もかなり疲労していたので怪我に気をつけながら慎重に下りていたら、再び他のメンバーとはぐれ一人ぼっちに。私がかなり遅れたのでR先生は心配され、途中で待っていて下さった。結局下まで下りるのにも2時間、辿り着いたときは安堵のため息が出た。宿舎に戻るまでR先生に研究の話を聞いて頂く。その後シャワーを浴びて泥のように眠った。

2008-06-15

ノールフィヨルド

今日から一週間ノールフィヨルド(Nordfjordeid)で開かれるサマースクール「幾何学における群作用と表現論」に参加する。Nordfjordeidはノルウェーの西海岸に位置する小さな町でリー環・リー群で有名なSophus Lieの生まれた町である。

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サマースクールの会場はSophus Lie Conference Center。飛行機で行けばオスロから1時間半だが、周囲の景色が美しくバスで行く方が窓からの景色を楽しめると聞いたので、オスロ大学の友人たちと一緒に10時間かけてバスで行く事にした。長旅になるので朝一時間ほど早く起きて弁当を準備した。初めてだったが、なんとかそれっぽく完成。朝9時半にオスロバスターミナルを出発。車内にトイレがあるかどうかだけが不安だったが、あることが分かりホッとする。車内でR先生の学生Christianが横に座っても良いかと聞いてきたのでOKすると嬉しそうに席を移ってきた。旅の間彼に変形理論を教えてあげる代わりにノルウェー語を教えてもらう約束をする。会話に夢中になっているうちにバスはオスロ市内を出て、気がつくとあたりには長閑な田園風景が広がっていた。天気も良く気持ちの良い青空のもとバスは軽快に進んで行く。途中牛や馬が放牧されている牧場があった。R先生の学生のAndreaは研究を始める以前にNordfjordeidの牧場で半年間働いていた経験があり、彼女から牧場での暮らしや、牛や馬の世話についていろいろ教えてもらった。
Christianは問題を解くのが好きで、ネットから数学の問題を探してきては暇な時に我々に出題する。今回もバスの中で彼の問題を一緒に考えた。彼は頭の回転が早いみたいで私が出したいくつかの問題をあっという間に解いてしまった。問題を解いたりしているうちに5時間が経過し、昼食休憩になった。外の空気を吸ったおかげで少し元気が出る。再び目的地に向かって出発。出発から7時間が経過したあたりで、山岳地帯に入る。内陸の為に山の高い所にはまだ雪が残っている。途中ところどころに大きな湖があり、バスはその縁に沿うように進んだ。湖には光の反射により山の形が正確に映し出され、まるでもう一つの山が存在するかのようである。北欧の大自然が作り出した美しい景色にすっかり魅せられ、車内から写真をとり続けた。山々のたたずまいは荘厳で気高く、犯しがたい威厳のようなものすら感じる。まだまだ紹介したい写真がいくつもあるので、このページに置いておく。良かったら見て頂きたい。バスの旅はそれからもまだ続き、夕方7時ごろに会場のセンターに到着。荷物を部屋に置いて、夕食の会場に行くと、ノルウェー料理が用意されていた。Oslo以外の他の大学Bergen, Tromso, Trondheimの学生さん達も合流し賑やかな夕食。センターにはいくつかのスポーツ施設がある。夕食後若い参加者同士でサッカーをすることになった。芝生のサッカーコートで4対4に分かれてミニゲームを楽しんだ。若者はさすがに体力がある。私は序盤から早くもバテバテ。それでもなんとか2点シュートを決めて、日本代表(?)としての責任は果たす。念入りにストレッチをしたおかげで大した怪我もなくて済んだのは良かった。

2008-06-14

フリーマーケット

明日から一週間、Nordfjordで開かれるサマースクールに参加する。出張の準備をしないといけないが、日本を出るとき下着を一週間分も持ってこなかった。昨日の冒険(?)の疲れもあったけど、少し下着を買い足すために町に出る。ついでにGrønlandのフリーマーケットをのぞいた。このフリーマーケットは毎週土曜日に開かれ、ありとあらゆるものが売られている(※写真は4月に撮ったもの)。リサイクルの品が多いけど、安く物が手に入るのでこちらに来た当初から利用している。今日は目当てのものがあった。電気湯沸かし器である。宿舎のキッチンにあったのはLineのものだったので、彼女が帰郷すると残った我々は仕方なく電子レンジで湯を沸かしていた。コーヒー1杯分くらいの湯ならば電子レンジで十分だが、朝の忙しい時やパスタを茹でる時にさっと大量のお湯を沸かすには不便である。ざっと市場を一回りするとちょうど良さそうなものが見つかった。値段を尋ねると100NOK。電気屋で新品を買ったら200NOKはするだろうから、悪くない。あとはちゃんと機能するかどうかだけど、ここは店主の言葉を信用する事にした。家に戻り早速湯沸かし器を使ってみた。こちらの電圧は230V(50Hz)である。その為かもしれないけどお湯がさっと沸くのでとても便利。日本に持って帰っても使えないから帰国するときは宿舎のキッチンに寄付することに決めた。

サマーパーティー

このところ天気がはっきりしない日が多く、屋外は少し肌寒い。夕方から研究科のサマーパーティーがあり、これまたR先生の取り計らいで参加させて頂く。場所はNordre Skøyen Hovedgårdで19時開始。研究科の秘書さんにもらった地図を頼りに、T-baneの駅Høyenhallを降りて少し歩くと大きな公園があり、会場はその中にある一軒家だった。19時ぎりぎりになってようやく人が集まり始め、結局数学科のメンバーがスタッフから学生まで総勢80人くらい集まった。普段大学で会うのは専門分野の近い人に限られるが、席順が作用素環の先生方と近くなり会話の機会を持った。私はノルウェー語を理解しないために途中の余興のクイズやR先生の挨拶などパーティーの盛り上がりに一緒に交ざることができず残念だったが、食事とお酒、それに会話を十分に楽しんだ。パーティーの最後に今年度修士を修了された学生さんが一人ずつ紹介され、一人一人に花束と記念品が送られた。
その後は自由解散になり、私はR先生やP先生の学生さん達と話をしていたが、ついつい話が盛り上がり気がついたら深夜12時を回っていた。私の宿舎はオスロの郊外にあるので、最終電車を逃すと帰れなくなる。慌てて挨拶をすませ、走って駅に戻ると12時26分の最終電車になんとか間に合った。しかしその電車はMajorstuenまでしか行かず、途中で無理やり降ろされてしまう。私の宿舎Kringsjåは、まだまだずっと先にある。こうなったらMajorstuenからBlindernまで歩いて大学で一泊するか?それともMajorstuenからKringsjåまで薄暗い夜道を歩くか?と考えていると、さらに悪いことに雨が降ってきた。しかもこちらでは珍しい大粒の雨である。傘を生憎持ち合わせてなかったのでBlindernまで歩くとびしょ濡れになるだろう。やむを得ずタクシーに乗ることにした。これまでタクシーに乗ることは無かった。ノルウェーはただでさえ物価が高く、さらに深夜料金のはずだから、宿舎まで500NOK(約一万円)くらいはかかるかもしれないと不安になったが、風邪をひいて病院にいったらそれどころではすまない。ずっとタクシーのメーターとにらめっこしながらドキドキしていると割と短時間で宿舎に到着した。186NOK(約3720円)だった。このくらいで済んで良かったとホッと胸を撫で下ろす。

2008-06-12

トイレ

こちらに来てからというもの街中でトイレを探すのに苦労することが多い。お店に入ってトイレを探しても無いことが殆どである。スーパーや駅など人が多く集まる所にはトイレがあるだろうと思って探すのだがなかなか見つからずいつも困っている。ショッピングモールのような商業地域でも各階にトイレがある訳では無く、4階建ての建物の3階にしか無いなんてことが頻繁にある。今まで自分がトイレ運に見放されているんだろうと思っていたが、今日は街にトイレが無い事を確信するような出来事があった。

まずH&Mという洋服屋さんに入ってトイレを借りようとしたら、「客用のトイレは無い!」という返事が帰ってきた。日本だったら例え無くても従業員用のトイレに案内したりしそうなもんだが、ノルウェーでは断るようだ。Majorstuenという比較的大きな駅の近くだったので、駅に戻って有料の公衆トイレを探したけどやっぱり無い。切符売場の駅員さんにトイレの場所を聞いたら信じられない返事が帰ってきた。「駅にはトイレは無い。近くのマクドナルドに行け!」「....。」実はこの時マクドナルドはもう既に調べ済だった。トイレはあるにはあったが、全てドアがロックされていた。しかもごっついキラキラの暗証番号鍵!大学のあるBlindernまで一駅だったので、大学まで待つことにした。いつもこんな感じで我慢することが多い。トイレ探しの旅は続く。

2008-06-11

セミナーと談話会

今年度最後のセミナーがあった。講演者はKleppe先生で、空間曲線のHilbert schemeについてのお話をして頂いた。曲線がBuchsbaumの時に斉次イデアルの極小自由分解に現れるGhost termと呼ばれる反復自由項をキャンセルすることで、そのgeneralizationを記述するという面白いお話だった。BuchsbaumはACMに近いイメージがあったが、一般にはunobstructedとは限らないらしい。セミナー後は談話会を聞きにいく。幸い英語による講演だった。

今週いっぱいでセメスターは終了。つまり今年度はこれでおしまい。来週から夏休みが始まる。8月の半ばくらいまで約2ヶ月以上の長期にわたる夏休みだ。研究科の先生方もヨーロッパのどっかの研究集会に参加したり、家族とバカンスに出かけたりと各々予定を組まれており、おそらく研究所の中は閑散とするであろう。私はというと、来週Nordfjordeidで開かれるサマースクールに参加するくらいのもので、あとは基本的に研究科に出てくると思う。研究の進捗状況も芳しく無いのでここらで気合を入れて研究しよう。

2008-06-10

引っ越しました

久しぶりの更新。この数週間ずっと計算していたおかげで、ブログの更新がすっかり疎かになり、読者の方々に申し訳なく思う。毎日研究して自炊して研究して自炊して...の繰り返しですっかり単調になり、ネタがあまり無いという状況になりつつある。

そろそろセメスターも終わりに近づいてきた。Kringsjaの友人達も試験や学位論文の審査が終わり、次から次へと故郷に帰ってしまった。まず初めにVerenaがオーストリアに、その次にQinghuaが中国に、そして今週はLineがノルウェー北部に帰り、女の子3人がいなくなった為に、キッチンもなんか味気ないというか寂しくなってしまった。今日はLineが住んでいた部屋に引っ越した。荷物も少ないのであっという間に引越しを終えた。前の部屋は窓が北西向きで朝は薄暗く、夕方は西日がきつい環境だったので、南東向きの部屋に越してきた。ノルウェーに来てから毎朝6時から7時の間に自然に目が覚め、早起きが習慣になっている。しかし朝日を浴びないせいでなんとなく頭がボーっとしていたが、これで少しは解消されるかもしれない。新しい部屋はLineが出発前に綺麗に掃除してくれたおかげで、とても気持ち良く快適である。明日は部屋の移動に伴う住所変更の手続きをしないといけないが、銀行と郵便局くらいで済むだろう。こちらも夏になり、日が暮れるのがとても遅い。ちなみに写真は夜10時半に撮ったものだが、窓の外がかなり明るいことが分かると思う。深夜0時を回ってもまだ空は薄明るく、完全に闇になることは無い。